空き家の増加は、人口減少だけで説明できる問題ではありません。住宅供給、相続、高齢化、建物の老朽化、所有者の意思決定が複雑に関係しています。
2-1.世帯数以上に住宅ストックが増え続けている
2023年の総住宅数は6,504万7千戸で、2018年から263万9千戸増加しました。一方、総世帯数は5,621万5千世帯で、同期間の増加は221万4千世帯です。
住宅数は世帯数を上回った状態が続き、新しい住宅が供給される一方で、古い住宅が市場から退出せずに残っています。
新築住宅が必要とされる場所と、空き家が発生する場所が一致するとは限りません。駅に近い都市部では住宅不足や価格上昇が起きる一方、郊外や地方では既存住宅の買い手や借り手を見つけにくいという、地域ごとの需給差もあります。
2-2.相続をきっかけに空き家になる
国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」では、空き家の取得方法の57.9%が相続でした。
相続空き家が発生した直接的なきっかけは、次のようになっています。
| 空き家になったきっかけ | 割合 |
|---|
| 所有者の死亡 | 58.3% |
| 転居 | 26.9% |
| 老人ホームなどへの入居 | 11.3% |
親が亡くなったときだけでなく、施設へ入居した時点から実家が空き家になることがあります。
子世代がすでに別の地域で持ち家を購入している場合、実家へ戻って住む可能性は低くなります。それでも、親が元気なうちに実家の将来を話し合う機会がなく、相続後に判断が持ち越されるケースが少なくありません。
2-3.相続前に家族で方針を決めていない
同調査では、相続前に何らかの対策をしていた世帯は23%にとどまり、77%は対策をしていませんでした。
相続前に対策をしていない空き家は、対策をした空き家と比べ、活用や解体の意向を持たず、そのまま所有されている割合が約1.5倍でした。
対策として最も多かったのは、被相続人と家族による話し合いです。複雑な対策を始める前に、次の点を決めておくだけでも空き家の放置を防ぎやすくなります。
- 親が住まなくなった後に誰が管理するのか
- 子どもや親族が住む可能性はあるのか
- 売却、賃貸、解体のどれを優先するのか
- 家財を誰がいつ整理するのか
- 修繕費や解体費をどこから出すのか
- 土地と建物の名義が現在の状態と一致しているか
2-4.建物が古く、そのままでは売却・賃貸しにくい
相続によって取得された空き家のうち、1980年以前に建築された住宅は7割を超えています。
さらに、調査対象となった相続空き家のうち、構造上の不具合や、室内外の腐朽・破損がある住宅も7割を超えました。
古い住宅には、次のような問題が重なっている可能性があります。
- 現在の耐震基準を満たしていない可能性がある
- 断熱性や気密性が現在の住宅より低い
- 雨漏りやシロアリ被害がある
- 水回りや給排水管の交換が必要
- 駐車場や間取りが現在の需要に合わない
- 境界や接道条件が明確になっていない
- 建物や増築部分が登記内容と一致していない
「少しリフォームすれば貸せる」と考えていても、耐震改修、屋根・外壁、水回り、残置物処分まで含めると費用が膨らむことがあります。
2-5.費用・家財・感情の問題で判断を先延ばしにする
実家には家財や思い出が残っており、一般の不動産よりも売却や解体を決断しにくい傾向があります。
また、次のような負担も判断を遅らせる原因になります。
- 家財処分費
- 建物の解体費
- 境界確定や測量の費用
- 相続登記や遺産分割の手続き
- 共有者との意見調整
- 解体後の固定資産税負担への不安
- 売却しても希望価格にならないという抵抗感
「いつか誰かが住むかもしれない」と所有を続けても、具体的な利用者と時期が決まっていなければ、建物の老朽化だけが進む可能性があります。