5-1.危険がある場合は、安全確保の相談を先に進める
外壁の剥がれ、建物の傾き、屋根の落下などが見られる場合は、家の中に入って状態を確かめようとせず、安全な場所から自治体や専門家へ相談してください。
いま崩れそうな状態や、落下・倒壊によって人に危険が及んでいる状況では、その場を離れ、状況に応じて119番・110番へ通報します。
売却や家族との話し合いに時間がかかる場合も、危険を取り除くための相談は並行して進めましょう。
5-2.土地・建物の名義と、相続の状況を確認する
相続した実家では、誰が所有しているか、土地と建物の名義が一致しているか、共有者がいるかを確認します。
登記の名義が亡くなった人のままでも、相続した人の責任がなくなるわけではありません。 空き家の管理不備による賠償責任は、相続人にも関係し得ます。city.hitachinaka.lg.jp
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。
- 相続の開始と、その不動産の所有権を取得したことを知った日から、原則3年以内に申請が必要です。
- 施行前に相続で取得したことを知っていた未登記の不動産も対象となり、原則2027年3月31日が期限です。
- 正当な理由なく申請義務を怠ると、10万円以下の過料の対象になります。
遺産分割がまとまっていない場合の手続きも含め、司法書士や法務局へ相談しましょう。moj.go.jp
また、相続放棄をした場合も、放棄時にその財産を現に占有していた人には、相続人や相続財産清算人へ引き渡すまで、民法940条に基づく保存義務が残る場合があります。相続放棄による対応は、弁護士などへ個別に確認してください。city.yokosuka.kanagawa.jp
5-3.建物を点検し、管理・修繕の費用を把握する
今後も所有する場合は、建築士や修繕業者などに、建物の安全性と修繕の必要性を確認してもらいます。
定期的な管理では、次のような箇所が確認対象になります。
- 屋根・外壁・窓の破損や、部材の落下のおそれ
- 雨漏りや、建物内部の傷み
- 塀や庭木の状態、道路・隣地への影響
- 敷地内のごみ、害虫、不法侵入につながる破損
- 安全に使用できる建物での換気・通水・清掃
遠方に住んでいて管理が難しい場合は、管理業者への委託も選択肢です。巡回や清掃で対応できる範囲と、専門的な修繕が必要な範囲を確認しましょう。mlit.go.jp
5-4.管理・売却・解体・活用を比較する
どの方法が合うかは、建物の状態、地域の需要、権利関係、今後使う予定によって変わります。検討の目安は次のとおりです。
| 選択肢 | 検討する場面 | 先に確認すること |
|---|
| 管理を続ける | 将来使う予定が具体的にある | 安全性、修繕費、管理費、利用開始までの期間 |
| 建物付きで売却する | 自分では使う予定がなく、購入需要が見込める | 売却価格、建物の状態、権利関係、売却までの管理 |
| 修繕して貸す | 賃貸需要があり、修繕後の収支が見込める | 修繕費、募集賃料、空室リスク、維持費 |
| 解体して土地を売却・利用する | 建物の傷みが大きく、維持が難しい | 解体費、再建築の条件、隣家への影響、解体後の税負担 |
| 土地活用を検討する | 立地や需要に合う使い方が見込める | 初期費用、維持費、収支、将来の売却のしやすさ |
費用を比較するときは、売却価格や解体費だけでなく、片付け・修繕・隣家の補修・税金・管理費まで含めて考えることが大切です。
長屋の解体は、隣家との調整と補修費も確認する
長屋や共有名義の建物では、自分の住戸だけを解体する場合も、ほかの所有者や共有者との調整が必要になることがあります。共有物の解体など、軽微でない変更では原則として共有者全員の同意が必要です。city.hashimoto.lg.jp
長屋を切り離した後の壁面補修など、解体本体以外の費用も確認してください。大阪市の除却制度のFAQでも、長屋の切り取りに伴う壁面補修工事が、当該制度の補助対象外とされている例があります。city.osaka.lg.jp
建築士・解体業者に工事の範囲を確認し、権利関係については必要に応じて法律の専門家へ相談しましょう。
5-5.担当者・期限を決め、実行まで管理する
方針が決まったら、次の事項を具体化します。
- 誰が窓口になり、誰が費用を負担するか
- 点検・見積り・権利確認をいつまでに行うか
- 売却や工事が完了するまで、誰が管理するか
- 自治体への相談や補助金の申請が必要か
- 近隣への説明を誰が行うか
解体や改修の補助制度は、対象条件や予算、申請時期が自治体ごとに異なります。契約・着工前の手続きが必要な制度もあるため、見積りを取る段階で自治体へ確認してください。city.osaka.lg.jp