実家の土地を相続したら固定資産税はいくら?保有・土地活用・売却の判断基準
親が住んでいた実家と土地を相続することになり、次のような不安を感じていないでしょうか。
- 実家には住まないが、すぐに売却するつもりもない
- 固定資産税が年間いくらかかるのか分からない
- 空き家のまま残すと税金が高くなると聞いた
- 建物を解体すると固定資産税が上がるのか知りたい
- 土地活用と売却のどちらが有利か判断できない
結論からいうと、実家に誰も住んでいないという理由だけで、直ちに固定資産税が大幅に上がるわけではありません。
実家の土地と家を相続した場合の固定資産税の計算方法、住宅用地の特例、空き家を放置するリスクを解説します。首都圏の50代に向けて、保有・土地活用・売却の判断基準と確認手順を紹介します。

親が住んでいた実家と土地を相続することになり、次のような不安を感じていないでしょうか。
結論からいうと、実家に誰も住んでいないという理由だけで、直ちに固定資産税が大幅に上がるわけではありません。
固定資産税は、土地や建物などの固定資産を所有している人に課される地方税です。
固定資産税の基本的な計算式は、次のとおりです。
固定資産税額=課税標準額×税率
多くの自治体では標準税率の1.4%が採用されていますが、実際の税率は所在地の自治体で確認する必要があります。
土地の課税標準額は、固定資産課税台帳に登録された価格に、住宅用地特例や負担調整措置などを反映して算出されます。
したがって、次の金額に単純に1.4%を掛けても、固定資産税は計算できません。
固定資産税評価と相続税評価は、目的も計算方法も異なります。
固定資産税は、原則として毎年1月1日時点の登記簿上の所有者に課税されます。
登記簿上の所有者が死亡している場合は、土地や建物を現に所有している相続人等が納税義務を負います。
相続人が複数いる場合は、相続人全員が連帯して納める扱いになります。
相続登記が完了するまでの間、自治体から次のような書類の提出を求められることがあります。
書類の名称や期限は自治体によって異なるため、実家の所在地を管轄する固定資産税担当部署へ確認してください。
なお、固定資産税に関する現所有者の申告と、法務局で行う相続登記は別の手続きです。
相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく申請しない場合は、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
実家の固定資産税は、土地と建物を別々に計算します。
固定資産課税台帳に登録された土地の価格を基に、住宅用地特例や負担調整措置を反映した課税標準額を算出します。
固定資産課税台帳に登録された建物の価格を基に計算します。
築年数が古い建物であっても、課税台帳に価格が登録されている間は、原則として建物にも固定資産税がかかります。
納税通知書や課税明細書では、土地と建物が別々に記載されているのが一般的です。
市街化区域内の土地・建物には、固定資産税とあわせて都市計画税が課されることがあります。
東京23区の都市計画税率は0.3%です。
埼玉県、千葉県、神奈川県などでは、自治体によって税率や課税区域、軽減制度が異なります。
東京23区では、2026年度も小規模住宅用地にかかる都市計画税額を2分の1に軽減する独自措置が実施されています。
実家の税負担を確認するときは、固定資産税だけでなく、次の合計額を確認してください。
年間税負担=土地の固定資産税+建物の固定資産税+土地の都市計画税+建物の都市計画税
住宅が建っている土地には、住宅用地の特例があります。
住宅1戸につき200平方メートルまでの部分です。
| 税金 | 本則課税標準額 |
| 固定資産税 | 土地の価格×6分の1 |
| 都市計画税 | 土地の価格×3分の1 |
小規模住宅用地を超える部分です。
| 税金 | 本則課税標準額 |
| 固定資産税 | 土地の価格×3分の1 |
| 都市計画税 | 土地の価格×3分の2 |
住宅用地の区分と計算方法は、東京都主税局の案内でも同様に示されています。
例えば、住宅1戸の敷地が150平方メートルであり、ほかの適用要件も満たしていれば、原則として土地全体が小規模住宅用地に該当します。
ただし、住宅用地として扱われる面積は、建物の用途や床面積などによって制限される場合があります。
次の仮定で、税額を単純化して計算します。
| 項目 | 仮定 |
| 土地面積 | 150平方メートル |
| 土地の固定資産税上の価格 | 2,400万円 |
| 建物の固定資産税上の価格 | 600万円 |
| 固定資産税率 | 1.4% |
| 都市計画税率 | 0.3% |
| 土地の区分 | 全体が小規模住宅用地 |
※負担調整措置、端数処理、自治体独自の減免などは考慮していません。
2,400万円×6分の1×1.4%
=年間5万6,000円
600万円×1.4%
=年間8万4,000円
2,400万円×3分の1×0.3%
=年間2万4,000円
600万円×0.3%
=年間1万8,000円
5万6,000円+8万4,000円+2万4,000円+1万8,000円
=年間約18万2,000円
土地の都市計画税2万4,000円に2分の1軽減を適用すると、土地の都市計画税は1万2,000円です。
その場合の合計は、単純計算で年間約17万円となります。
実際には負担調整措置やほかの軽減制度が影響するため、この計算結果をそのまま納税額として使用することはできません。
東京都主税局の公式計算例でも、住宅用地特例を適用した本則課税標準額と、前年度の課税標準額を使った負担調整を行ったうえで税額を算出しています。
親の手元にある固定資産税・都市計画税の納税通知書を確認します。
主な確認項目は次のとおりです。
複数の土地や建物が記載されている場合は、実家以外の固定資産が含まれていないか確認してください。
納税通知書が見つからない場合は、市区町村や都税事務所で固定資産評価証明書などを取得します。
必要書類、手数料、取得できる人の範囲は自治体によって異なります。
建物の解体や土地活用を検討している場合は、自治体へ次の内容を確認します。
税額を確認する前に解体や用途変更を行うと、想定外の税負担が発生する可能性があります。
誰も住んでいないという理由だけで、直ちに住宅用地特例が外れるわけではありません。
ただし、次のような状態を放置すると注意が必要です。
市区町村から管理不全空家または特定空家として勧告を受けた敷地は、住宅用地特例の対象から除外されます。
また、勧告を受ける前であっても、建物が構造上住宅と認められない状態、取壊し予定で使用見込みがない状態、今後居住する見込みがなく必要な管理も行われていない状態では、住宅用地に該当しないと判断される場合があります。
固定資産税を抑えるためだけに、利用予定のない危険な建物を残すことは適切ではありません。
「建物を解体すると固定資産税が6倍になる」という説明は、正確ではありません。
6倍という数字は、小規模住宅用地に対する土地の固定資産税の課税標準が、価格の6分の1に軽減されていることを基にしています。
建物を解体し、毎年1月1日時点で住宅が存在しない場合は、原則として住宅用地特例が適用されません。
一方で、解体後は建物に対する固定資産税・都市計画税がなくなります。
また、次の要素も実際の税額に影響します。
したがって、土地と建物を合計した納税額が必ず6倍になるわけではありません。
解体前に、次の金額を市区町村へ確認してください。
土地活用の方法によって、住宅用地特例の扱いが変わります。
アパートや賃貸戸建てなど、住宅として使用する建物の敷地は、要件を満たせば住宅用地として扱われます。
共同住宅では、住宅の戸数に応じて小規模住宅用地の範囲が広がる場合があります。
住宅と一体ではない外部貸しの月極駐車場やコインパーキングは、原則として非住宅用地です。
東京都主税局も、外部貸しの月極駐車場、コインパーキングなどを住宅用地以外の例として挙げています。
そのため、住宅を解体して駐車場にすると、土地の住宅用地特例が外れる可能性があります。
土地活用を比較するときは、売上だけでなく、用途変更後の固定資産税・都市計画税も収支へ反映してください。
年間手残り
=年間賃料・利用料収入
-空室損
-管理費
-修繕費
-保険料
-固定資産税・都市計画税
-借入金返済額
-その他の運営費
建築会社から収支計画を受け取った場合は、次の前提を確認してください。
一定の要件を満たす相続空き家を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
現行制度では、2027年12月31日までに行われる一定の売却が対象です。
2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋・敷地を取得した相続人が3人以上の場合、1人当たりの控除上限は2,000万円です。
対象となる家屋には、次のような要件があります。
特に注意すべきなのは、相続から売却までの利用状況です。
国税庁は、特例の要件として、相続の時から譲渡の時まで、対象となる家屋・敷地が事業、貸付け、居住に使用されていないことを示しています。
そのため、相続後にいったん賃貸住宅や店舗として使用すると、将来の売却時に特例を利用できなくなる可能性があります。
土地活用を始める前に、次の2つを比較してください。
誰も住んでいないという理由だけで、直ちに住宅用地特例が外れるわけではありません。
ただし、適切に管理されず、市区町村から管理不全空家または特定空家として勧告を受けると、住宅用地特例の対象から除外されます。
必ず6倍になるわけではありません。
土地の小規模住宅用地に対する課税標準が6分の1から外れる可能性はありますが、建物分の固定資産税はなくなります。
負担調整措置、土地面積、都市計画税、自治体独自の軽減なども影響するため、実際の税額は市区町村へ確認してください。
分かりません。
固定資産税は、固定資産課税台帳に登録された価格を基に計算した課税標準額へ税率を掛けます。
不動産会社の査定価格や販売価格とは異なります。
固定資産税は、毎年1月1日時点の登記簿上の所有者に課税されます。
登記簿上の所有者が死亡している場合は、現に所有している相続人等が納税義務を負い、相続人が複数の場合は連帯して納付する扱いです。
自治体から現所有者申告書や相続人代表者指定届の提出を求められる場合があります。
固定資産税だけでは判断できません。
保険、草刈り、空き家管理、清掃、修繕、交通費、将来の解体費まで含めて、10年間の総支出を計算してください。
住宅と一体となった自家用駐車場は、住宅用地として扱われる場合があります。
一方、住宅から切り離して外部へ貸す月極駐車場やコインパーキングは、原則として非住宅用地です。
土地の一部だけ用途を変更する場合は、変更後の課税区分を自治体へ確認してください。
住宅用地特例が適用される可能性はありますが、新たに建物の固定資産税が発生します。
建築費、借入金、空室、修繕費も発生するため、固定資産税だけを理由に建築すべきではありません。
相続空き家の特別控除では、相続から譲渡まで事業、貸付け、居住に使用されていないことが要件の一つです。
一度賃貸すると利用できなくなる可能性があるため、契約前に税理士または税務署へ確認してください。
売却時の譲渡所得税に影響します。
親が購入・建築した際の売買契約書、建築請負契約書、領収書、住宅ローン資料などを探してください。
取得費を確認できない場合の取扱いは税務判断が必要になるため、売却前に税理士または税務署へ確認してください。
相談内容によって窓口が異なります。
| 確認内容 | 主な相談先 |
| 現在・解体後の固定資産税 | 市区町村・都税事務所 |
| 相続登記 | 法務局・司法書士 |
| 相続空き家の特別控除 | 税務署・税理士 |
| 売却価格 | 不動産会社 |
| 境界・測量 | 土地家屋調査士 |
| 土地活用収支 | 建築会社・不動産会社・金融機関 |
| 相続人間の紛争 | 弁護士 |
実家の土地と家を相続した場合、固定資産税は売却価格や市場価格から計算するものではありません。
固定資産課税台帳に登録された土地・建物の価格を基に、住宅用地特例や負担調整措置などを反映して計算します。
住宅1戸につき200平方メートルまでの小規模住宅用地では、固定資産税の本則課税標準額が土地価格の6分の1、都市計画税は3分の1になります。
一方、次の場合は税負担が変わる可能性があります。
実家をどうするか判断するときは、次の3つを同じ基準日で比較してください。
さらに、判断を先送りすることで増える修繕費や処分費、賃貸・解体によって失う可能性がある税制上の選択肢も確認する必要があります。
固定資産税の安さだけではなく、資産全体の手残りと、家族が将来負担する管理・借入・処分の責任まで含めて判断することが重要です。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。税務・法律・融資・収益性の判断は個別に異なります。具体的な計画は税理士・弁護士・金融機関等へご確認ください。
注意事項
本記事は、2026年7月24日時点で確認できる制度と公的情報を基に作成しています。
固定資産税、都市計画税、住宅用地の判定、自治体独自の軽減制度は、所在地や物件の状態によって異なります。
個別の税額は市区町村、譲渡所得税や税制特例は税務署または税理士、相続登記は法務局または司法書士へ確認してください。
監修者が未設定であるため、「税理士監修」「司法書士監修」などとは表示しないでください。