トチカツ!Myhome Heroes無料相談
サービス内容選択肢の比較相談の流れお役立ち記事運営者情報住宅相談サイトへ 無料相談フォームLINEで相談する
土地

実家の土地を活用して注文住宅を建てるメリットを解説。土地取得費が不要になる場合の住宅ローン予算、大手ハウスメーカー、二世帯住宅、賃貸併用住宅の選び方と失敗を防ぐ確認事項を紹介します。

更新 2026.07.30読了目安 30分監修:潟沼勇気

建築費と地価が上昇するなか、土地から注文住宅を購入すると、建物へ十分な予算を残せないケースが増えています。

一方、親が所有している実家の土地や相続予定の土地を利用できれば、新たな土地購入費を負担せず、建物、住宅性能、間取り、外構へ予算を配分できる可能性があります。

国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、土地を購入した注文住宅世帯の土地購入資金は、全国平均2,674万円、三大都市圏平均3,947万円でした。実家の土地を活用できるかどうかは、住宅会社の選択肢を大きく変える要素です。

この記事では、実家の土地に注文住宅を建てるメリットと注意点、大手ハウスメーカーを検討できる住宅ローン予算、二世帯住宅・賃貸併用住宅のリスク、住宅会社の倒産や施工品質を確認する方法まで解説します。

  • 実家の土地を使えば、全国平均2,674万円、三大都市圏平均3,947万円の土地購入費を新たに負担せずに済む可能性がある
  • 注文住宅取得世帯の平均年収から手取りの25%以内で借入額を逆算すると、全国で約5,950万円、三大都市圏で約6,580万円が目安になる
  • 土地購入費が不要なら、建物と関連工事へ5,000万~6,000万円前後を配分できる家庭もあり、大手ハウスメーカーが比較対象に入りやすい
  • 二世帯住宅は、生活音、プライバシー、家事分担、費用負担、相続方法を建築前に決める
  • 賃貸併用住宅は、満室時の家賃ではなく、空室、管理費、税金、修繕、ローン返済後の手残りで判断する
  • ローコスト住宅だから危険なのではなく、安さの理由、経営状態、施工品質、完成保証を説明できない会社に注意する
  • 解体、測量、地盤改良、造成、外構、登記などを含め、土地代が不要になった分を建物本体へ使い切らない

1-1.住宅の建築費は2015年より大きく上昇している

一般財団法人建設物価調査会の建築費指数によると、2026年6月の東京における木造住宅の工事原価指数は、2015年平均を100とした場合で151.6です。

これは、特定の注文住宅の見積額が一律に約1.5倍になったという意味ではありません。しかし、資材、設備、労務費などを含む木造住宅の工事原価が、長期的に上昇していることを示しています。

建築費上昇の背景には、次のような要因があります。

  • 木材、鋼材、断熱材、住設機器などの価格上昇
  • 職人不足による人件費と外注費の上昇
  • 物流費、燃料費、電気料金の上昇
  • 断熱、省エネ、構造に関する基準への対応
  • 工期の長期化
  • 円安や海外情勢による調達コストの変動

以前と同じ床面積や設備を希望しても、必要な建築予算は増えやすくなっています。

1-2.住宅地の価格も上昇基調が続いている

国土交通省の令和8年地価公示では、全国平均の住宅地が5年連続で上昇しました。三大都市圏では、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも上昇幅が拡大しています。

土地から注文住宅を建てる場合は、土地と建物の両方で価格上昇の影響を受けます。

特に首都圏などでは、通勤や子育てに便利な土地を優先すると、住宅ローン予算の多くが土地取得費へ使われ、建物の面積、性能、間取りを削らなければならないケースがあります。

1-3.実家の土地は家族が保有する住宅資産

実家の土地を活用できれば、新たに土地を購入する場合と比較して、次の費用を抑えられる可能性があります。

  • 土地購入代金
  • 土地購入時の仲介手数料
  • 土地に関する所有権移転登記費用
  • 土地購入のためのローン利息
  • 土地探しにかかる時間と交通費

ただし、実家の土地にも固定資産税、相続税、解体費、測量費、造成費などが発生します。

「無料の土地」と考えるのではなく、新たな土地購入費を負担せずに利用できる住宅資産として評価することが重要です。

実家の土地に住宅を建てる場合、主な選択肢は次の3つです。

活用方法主な特徴向いている家庭主なリスク
子世帯だけの注文住宅実家を解体して子世帯の住宅を建築する親が別の住宅や施設へ転居する家庭親の住まい、相続人への説明
二世帯住宅親世帯と子世帯が同じ建物に住む育児や介護で協力したい家庭生活音、プライバシー、費用負担
賃貸併用住宅自宅と賃貸住戸を一体で建築する賃貸需要があり、長期経営できる家庭空室、家賃下落、修繕、融資

2-1.子世帯だけの注文住宅

既存の実家を解体し、子世帯が暮らす注文住宅へ建て替える方法です。

親がすでに別の住宅へ転居している場合や、相続した実家に誰も住んでいない場合に検討しやすい選択肢です。

土地取得費を抑えられるため、建物の耐震性、断熱性、床面積、収納、外構などへ予算を配分しやすくなります。

一方、親名義の土地に子が住宅を建てる場合は、土地の使用方法、住宅ローンの担保、将来の相続、兄弟姉妹との関係を整理しなければなりません。

2-2.二世帯住宅

親世帯と子世帯が同じ建物で暮らす方法です。

育児、介護、防犯、日常生活で協力しやすく、土地と建物を家族で有効活用できます。

ただし、仲のよい家族でも、起床時間、入浴時間、食事、洗濯、来客、室温、音に対する感覚は異なります。

建物の間取りだけでなく、生活ルールと費用負担まで設計前に決める必要があります。

2-3.賃貸併用住宅

建物の一部を自宅、残りを賃貸住戸として利用する方法です。

家賃収入を住宅ローン返済や修繕費へ充てられる可能性がありますが、満室を前提に計画するのは危険です。

土地の立地、周辺の賃貸需要、間取り、遮音、管理方法、長期修繕、融資条件を確認し、家賃が下落した場合でも返済できる計画が必要です。

実家の土地を活用する大きなメリットは、新たな土地購入費を抑えられることで、大手ハウスメーカーを含めた住宅会社の選択肢を広げられる可能性があることです。

「大手ハウスメーカーは年収が高い家庭でなければ建てられない」と考えられがちですが、実際には年収だけではなく、土地購入費を含めた総予算の配分が大きく影響します。

土地から購入する場合は、住宅ローン予算のうち数千万円を土地へ使わなければなりません。実家の土地を利用できれば、その予算を建物、住宅性能、外構、将来の修繕費などへ振り分けられます。

3-1.土地購入資金は全国平均2,674万円、三大都市圏平均3,947万円

国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査によると、土地を購入して注文住宅を建てた世帯の土地購入資金は次のとおりです。

地域土地購入資金の平均土地購入資金の中央値
全国2,674万円1,500万円
三大都市圏3,947万円2,500万円

実家の土地を使う場合、この金額がそのまま現金として手元に残るわけではありません。また、すべての土地で平均額と同じ効果が得られるわけでもありません。

それでも、新たな土地購入が不要になれば、全国平均では約2,700万円、三大都市圏では約3,900万円を土地へ支払わずに家づくりを始められる可能性があります。

これは住宅会社選びを大きく変える金額です。土地から購入する場合には予算不足で候補から外れていた大手ハウスメーカーでも、実家の土地を使えば検討できる可能性が高まります。

3-2.平均年収から手取りの25%以内で住宅ローンを逆算する

同調査における注文住宅取得世帯の平均世帯年収は、全国で1,129万円、三大都市圏で1,249万円です。

ここでは、次の条件で住宅ローン借入額を簡易計算します。

  • 世帯の手取り年収は額面年収の75%と仮定
  • 住宅ローン返済額は手取り年収の25%以内
  • 借入金利は年1.3%
  • 返済期間は35年
  • 元利均等返済
  • ボーナス返済なし
試算項目全国三大都市圏
平均世帯年収1,129万円1,249万円
推定手取り年収約847万円約937万円
年間返済額の上限約212万円約234万円
毎月返済額の上限約17万6,000円約19万5,000円
住宅ローン借入目安約5,950万円約6,580万円

平均世帯年収のモデルでは、手取りに対する住宅ローン返済比率を25%以内に抑えても、約5,950万~6,580万円の借入額になります。

土地を購入する必要がなければ、この予算の多くを建物と関連工事へ配分できます。そのため、大手ハウスメーカーの注文住宅や規格住宅も、現実的な比較対象に入りやすくなります。

ただし、この25%は住宅ローン返済だけの比率です。固定資産税、火災・地震保険、修繕、光熱費、駐車場などは別に確保しなければなりません。

実際の手取り額も、ご主人様と奥様の収入割合、扶養家族、社会保険料、住民税などによって異なります。平均世帯年収は高所得世帯の影響を受けるため、最終的な予算は各家庭の手取り額から計算してください。

3-3.土地から購入する場合と実家の土地を使う場合の違い

先ほど算出した住宅ローン借入目安へ、平均土地購入資金を当てはめると次のようになります。

地域住宅ローン借入目安土地購入後に建物・諸費用へ残る金額実家の土地を使う場合に配分できる金額
全国約5,950万円約3,276万円約5,950万円
三大都市圏約6,580万円約2,633万円約6,580万円

土地から購入する場合、土地代を支払った後に残る金額だけで、建物、設計、付帯工事、外構、諸費用を賄わなければなりません。

三大都市圏のモデルでは、約6,580万円を借りられたとしても、平均土地購入資金3,947万円を差し引くと、建物と諸費用へ使える金額は約2,633万円です。この金額では、大手ハウスメーカーの注文住宅は予算面で難しくなる可能性があります。

一方、実家の土地を使えば、新たな土地購入費を負担せず、解体費や造成費などを差し引いた残りを建物へ配分できます。建物関連へ5,000万~6,000万円前後を確保できる家庭では、大手ハウスメーカーも含めた比較がしやすくなります。

なお、この表は異なる調査項目の平均値を組み合わせたモデルケースです。実際の平均的な購入事例や、金融機関による融資可能額を表すものではありません。

3-4.土地代が不要でも全額を建物へ使わない

実家の土地があっても、建物本体以外に次の費用が発生します。

  • 既存建物の解体費
  • アスベスト調査・除去費
  • 測量・境界確定費
  • 地盤調査・地盤改良費
  • 擁壁や造成工事費
  • 水道・下水・ガスの引込み費
  • 外構・駐車場工事費
  • 設計・申請・登記費用
  • 火災保険・地震保険
  • 家具・家電・引っ越し費用
  • 予備費

土地代が不要になった金額を、そのまま建物本体価格へ上乗せするのは危険です。

最初に住宅ローンの上限を決め、追加工事、諸費用、入居後の生活防衛資金を確保したうえで、残った金額を住宅性能、間取り、設備へ配分しましょう。

3-5.大手ハウスメーカーで優先したい予算配分

実家の土地によって確保できた予算は、内装や設備のグレードアップだけでなく、完成後に変更しにくい部分へ優先的に使うことが重要です。

  1. 耐震性能と構造計算
  2. 地盤・基礎・擁壁
  3. 断熱・気密・日射対策
  4. 二世帯間や住戸間の遮音
  5. 防水・耐久性
  6. 将来の修繕費
  7. 必要な床面積と収納
  8. 家事・育児・介護動線
  9. 設備や内装のグレード

大手ハウスメーカーは、施工体制、長期保証、アフターサービス、鉄骨造、大空間設計などに強みがある一方、商品や仕様によって価格差があります。

「土地代が不要だから大手ハウスメーカーにする」と決めるのではなく、同じ建物面積、性能、付帯工事、外構、保証条件をそろえて比較することが大切です。

3-6.土地と建物の名義を建築前に整理する

親名義の土地に子世帯が住宅を建てる場合は、少なくとも次の点を整理します。

  • 土地を親名義のまま使用するのか
  • 子へ贈与または売却するのか
  • 土地の使用貸借や地代をどうするのか
  • 建物の建築費を誰が負担するのか
  • 建物を単独名義または共有名義のどちらにするのか
  • 親が亡くなった場合に誰が土地を相続するのか
  • 他の兄弟姉妹へどのように説明するのか
  • 土地を住宅ローンの担保にできるのか

実際の建築費負担と登記上の持分が一致していない場合は、贈与税などの問題が生じる可能性があります。

住宅会社だけで決めず、金融機関、司法書士、税理士を交えて着工前に整理することが重要です。

4-1.二世帯住宅は3つのタイプに分かれる

タイプ共有する設備プライバシー建築費向いている家庭
完全同居型玄関、浴室、キッチンなどを共有低い抑えやすい日常的に協力したい家庭
部分共有型玄関や浴室など一部を共有中程度中程度適度な距離を保ちたい家庭
完全分離型玄関、キッチン、浴室などを分離高い高くなりやすい生活時間や価値観が異なる家庭

完全分離型でも、上下分離の場合は生活音が伝わる可能性があります。

親世帯を1階、子世帯を2階にすると、子どもの走る音、椅子を動かす音、洗濯機や排水管の音が親世帯へ伝わりやすくなります。

4-2.生活音とプライバシーを図面段階で確認する

確認したいポイントは次のとおりです。

  • 寝室の上下に子ども部屋やリビングを配置しない
  • 浴室、洗濯機、トイレを寝室から離す
  • 世帯間の界床・界壁の仕様を確認する
  • 排水管へ防音・防振対策を行う
  • 玄関から各世帯の室内が直接見えないようにする
  • 来客が相手世帯を通らずに移動できるようにする
  • 郵便受け、インターホン、宅配ボックスを分ける
  • 世帯ごとに温度を調整できる空調計画にする

「家族だから音は気にならない」と考えず、別世帯として設計することが長期的な関係を守ります。

4-3.家事分担と費用負担を決める

建築前に決めたい項目は次のとおりです。

  • 電気、ガス、水道料金
  • 固定資産税
  • 火災・地震保険
  • 住宅ローン返済
  • 外壁、屋根、防水などの修繕費
  • 庭、駐車場、共用部の掃除
  • 食事と買物
  • 洗濯
  • 子どもの送迎や預かり
  • 介護が必要になった場合の役割
  • 親世帯が亡くなった後の利用方法

完全分離型でも、メーターや給湯器が共用になっていると、毎月の費用負担を公平に分けにくくなります。

4-4.相続まで含めて考える

土地が親名義で、建物を親子共有にする場合、親が亡くなった後に土地や建物の持分が他の兄弟姉妹へ相続される可能性があります。

同居していない相続人が共有者になると、売却、建て替え、大規模修繕、担保設定などで同意が必要になる場合があります。

将来の相続を見据えて、遺言、代償分割、生命保険、持分、資金負担などを専門家と整理しましょう。

5-1.表面利回りと手残りは違う

賃貸併用住宅で重要なのは、満室時の家賃ではなく、すべての支出を差し引いた手残りです。

毎月の手残りは、概ね次の式で考えます。

手残り=実際の入金家賃-管理費-募集・原状回復費-税金・保険-修繕積立-ローン返済

不動産所得の税務上の利益と、実際の口座に残る現金も一致するとは限りません。

5-2.賃貸併用住宅の収支例

次の条件で試算します。

  • 賃貸住戸2戸
  • 1戸当たりの想定家賃11万円
  • 想定稼働率90%
  • 管理・募集・小修繕費は実効家賃の15%
  • 税金・保険の賃貸部分負担は月1万5,000円
  • 長期修繕積立は月2万円
  • 賃貸部分に対応するローン返済は月10万円
収支項目月額
満室時の家賃22万円
稼働率90%を反映した家賃19万8,000円
管理・募集・小修繕費2万9,700円
税金・保険1万5,000円
長期修繕積立2万円
賃貸部分のローン返済10万円
税引前の手残り3万3,300円

満室時の家賃は22万円でも、実際の手残りは約3万3,000円です。

さらに1戸が長期間空室になれば、簡易計算では毎月赤字になる可能性があります。賃料の下落、金利上昇、給湯器や外壁の修繕も考慮しなければなりません。

この数値は考え方を示すための例であり、実際の管理費、修繕費、税金、融資条件は物件ごとに異なります。

5-3.最低3つの収支を作る

賃貸併用住宅では、次の3パターンを比較します。

シナリオ主な前提
基準シナリオ周辺成約賃料、現実的な稼働率、現在の金利
悪化シナリオ家賃10%下落、空室期間延長、修繕費増加
危機シナリオ1戸長期空室、金利上昇、大規模修繕が重なる

危機シナリオでも給与収入や預貯金で返済を継続できるかを確認します。

一括借上げや家賃保証を利用する場合も、保証賃料の見直し条件、免責期間、修繕負担、解約条件まで確認が必要です。

5-4.賃貸住宅こそ断熱・遮音・維持管理性能が重要

国土交通省は、賃貸住宅の断熱性向上や遮音対策のための大家向けガイドブックを公表しています。

賃貸部分で確認したい性能は次のとおりです。

  • 断熱等性能
  • 一次エネルギー消費量
  • 窓の断熱・遮音性能
  • 世帯間・住戸間の界壁
  • 床衝撃音対策
  • 給排水管の音と更新性
  • 結露・換気対策
  • 外壁・屋根・防水の耐久性
  • 設備交換のしやすさ
  • 電気・ガス・水道メーターの分離

国土交通省の計画修繕ガイドブックでも、適切な修繕を行わずに賃貸経営を続けると、競争力の低下、家賃の下落、入居率の低下につながるとされています。

建築費を抑えるために断熱、遮音、維持管理性を削ると、完成後の空室や修繕費に影響する可能性があります。

マンションには、駅への近さ、防犯性、共用部の管理、ワンフロアで生活できるなどのメリットがあります。

一方で、子どもの走る音、椅子を引く音、室内遊び、泣き声などが上下左右の住戸へ伝わる可能性があります。

国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、過去1年間に発生したトラブルについて「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」が60.5%でした。その具体的な内容では「生活音」が43.6%と最も多くなっています。

この調査は生活音の原因を子どもに限定したものではありません。そのため「子どもがいると必ず苦情を受ける」という意味ではありませんが、マンションにおいて生活音が主要なトラブルの一つであることは確認できます。

マンションを検討する場合は、次の点を確認しましょう。

  • スラブ厚や床構造
  • 二重床・直床の違いだけで判断しない
  • 子ども部屋と隣接住戸の位置
  • 下階が住戸か共用施設か
  • 管理規約と騒音トラブルへの対応
  • 過去の管理組合議事録
  • 子育て世帯の居住割合
  • 共用部や近隣の遊び場

戸建てでも屋外の声や設備音による近隣トラブルはあり得ますが、上下階を別世帯と共有しない点は、子育て世帯にとって一つのメリットです。

7-1.住宅会社の倒産リスクは現実に高まっている

東京商工リサーチによると、2026年上半期のハウスメーカー・木造建築工事業の倒産は118件で、前年同期比87.3%増加しました。

帝国データバンクの調査でも、2026年上半期における建設業の倒産は1,043件、休廃業・解散は4,894件でした。倒産と廃業を合計した撤退は5,937件となり、上半期として過去最多です。

木造建築工事に分類されるハウスメーカーや工務店の倒産・廃業は947件でした。

背景には次の要因があります。

  • 建築資材と土地の価格上昇
  • 人件費と外注費の上昇
  • 職人不足
  • 確認申請の厳格化
  • 着工の遅れと工期の長期化
  • 住宅着工数の減少
  • 住宅ローン金利上昇による購買力の低下
  • 値上げが難しく利益を確保できない状態

7-2.ローコスト住宅と倒産を直接結びつけることはできない

公表されている倒産統計から、ローコスト住宅会社だけが倒産しやすいとは判断できません。

規格化、大量仕入れ、広告費の削減、施工エリアの限定などにより、品質を保ちながら価格を抑えている会社もあります。

危険なのは、次のような状態です。

  • 他社より極端に安いが理由を説明できない
  • 必要な付帯工事が見積りから抜けている
  • 契約後の追加費用を前提にしている
  • 原価上昇を価格へ転嫁できず赤字受注が続いている
  • 着工前や出来高以上の支払いを求める
  • 現場監督や職人を確保できていない
  • 契約棟数に対して工事体制が不足している

「安い会社が危険」ではなく、「安さの仕組みと経営の持続性を説明できない会社が危険」と考えるべきです。

7-3.品質は価格ではなく数値と検査で比較する

国土交通省の住宅性能表示制度では、新築住宅について10分野33項目の評価項目が設けられています。

比較する際は、広告の表現ではなく、次の内容を数値や書面で確認しましょう。

  • 耐震等級と構造計算方法
  • 断熱等性能等級
  • 一次エネルギー消費量等級
  • 劣化対策等級
  • 維持管理対策等級
  • 窓、壁、床の遮音仕様
  • 防水検査
  • 気密測定の有無と測定条件
  • 第三者による設計・建設住宅性能評価
  • 現場検査の回数と記録の提供

建築基準法を満たしていることと、希望する耐震性、断熱性、遮音性、耐久性を満たしていることは同じではありません。

7-4.完成保証と瑕疵保険を混同しない

住宅完成保証制度は、施工会社が工事途中で倒産した場合に、増加した工事費や前払金の損失を一定範囲で保証し、引継ぎ業者をあっせんする任意の制度です。

一方、新築住宅の瑕疵保険は、引渡し後に構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分などに瑕疵が見つかった場合の補修を対象としています。

瑕疵保険だけでは、工事途中で倒産した住宅を完成させる費用は原則としてカバーできません。

契約前に次の点を確認しましょう。

  • 住宅完成保証を利用できる会社か
  • 今回の建物が実際に保証対象になるか
  • 保証限度額と免責事項
  • 着工前の倒産も対象になるか
  • 引継ぎ業者の紹介条件
  • 支払い時期が工事の出来高と合っているか
  • 瑕疵保険の保険法人と対象範囲

実家の土地がある場合でも、すぐに建築計画を進めてはいけません。

8-1.権利・相続

  • ☐ 土地と建物の登記名義を確認した
  • ☐ 相続登記が完了している
  • ☐ 共有者全員の意向を確認した
  • ☐ 他の相続人へ説明した
  • ☐ 建物の名義と建築費負担を整理した
  • ☐ 将来の相続方法を検討した

8-2.土地・法規制

  • ☐ 確定測量図や境界標を確認した
  • ☐ 接道条件と道路種別を確認した
  • ☐ 再建築できる土地か確認した
  • ☐ 用途地域、建蔽率、容積率を確認した
  • ☐ 高さ、斜線、日影、防火規制を確認した
  • ☐ 二世帯住宅や共同住宅を建築できるか確認した
  • ☐ 駐車場、避難経路、ごみ置場を確保できる

8-3.追加費用

  • ☐ 既存建物の解体費を見積もった
  • ☐ アスベスト調査の必要性を確認した
  • ☐ 地中埋設物の可能性を確認した
  • ☐ 擁壁の安全性を確認した
  • ☐ 地盤改良費を想定した
  • ☐ 水道、下水、ガスの引込み状況を確認した
  • ☐ 外構、造成、測量、登記費用を含めた
  • ☐ 予備費を確保した

8-4.災害リスク

  • ☐ 洪水・内水・高潮ハザードを確認した
  • ☐ 土砂災害警戒区域を確認した
  • ☐ 液状化や地盤情報を確認した
  • ☐ 過去の浸水履歴を調べた
  • ☐ 災害リスクを踏まえた保険料を確認した

8-5.賃貸需要

  • ☐ 募集中の家賃ではなく成約賃料を調べた
  • ☐ 単身、夫婦、ファミリーの需要を確認した
  • ☐ 駅距離、学校、買物、医療環境を確認した
  • ☐ 周辺の空室期間を確認した
  • ☐ 複数の管理会社から査定を取得した
  • ☐ 家賃10%下落時の収支を計算した

9-1.土地を調査する

役所調査、現地調査、登記、境界、道路、インフラ、ハザードを確認します。

住宅会社へ相談する場合も、建物プランを作る前に土地調査を行うことで、再建築の可否、建てられる大きさ、追加工事の可能性を把握しやすくなります。

9-2.家族の希望を分けて聞く

親世帯、子世帯、ご主人様、奥様、兄弟姉妹から個別に希望を聞きます。

全員が同席した場では本音を言いにくいことがあります。親世帯が本当に同居を希望しているのか、子世帯が育児協力をどの程度期待しているのか、兄弟姉妹が相続をどう考えているのかを確認しましょう。

9-3.3つの建物案を比較する

少なくとも次の3案を同じ条件で比較します。

  1. 子世帯だけの注文住宅
  2. 完全分離型の二世帯住宅
  3. 賃貸併用住宅

建築費だけでなく、返済額、修繕費、税金、家賃収入、将来の売却・転用まで比較しましょう。

9-4.住宅会社の経営と施工体制を確認する

価格やデザインだけでなく、経営状態、現場監督、協力業者、完成保証、検査方法、アフターサービスを確認します。

大手ハウスメーカーと地域工務店では、価格だけでなく、構造、保証、設計自由度、施工エリア、担当者の提案力に違いがあります。同じ条件の見積書を作成して比較することが重要です。

9-5.家族と専門家を交えて最終判断する

建築会社だけでなく、必要に応じて金融機関、税理士、司法書士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーへ確認します。

特に土地と建物の名義、住宅ローン、贈与、相続、賃貸収支は、住宅会社だけでは判断できない場合があります。

土地から注文住宅を購入する場合、土地の立地と価格を優先した結果、建物に十分な予算を残せないことがあります。

実家の土地を活用できれば、土地購入費の一部を次の項目へ振り分けられます。

  • 住宅ローン借入額の削減
  • 大手ハウスメーカーを含めた住宅会社の比較
  • 完全分離型二世帯住宅の面積
  • 世帯間の遮音対策
  • 断熱・気密性能
  • 耐震性能
  • 収納と家事動線
  • 長期修繕費
  • 賃貸部分の競争力
  • 教育費や老後資金

ただし、実家の土地が通勤・通学に不便、災害リスクが高い、親子関係に不安がある、賃貸需要が乏しい場合は、土地を売却して別の土地を購入した方がよいケースもあります。

土地の市場価値が高い場合は、自宅として利用するだけでなく、売却した場合の受取額や、賃貸・土地活用を行った場合の手残りも比較しましょう。

実家の土地を使うこと自体を目的にせず、家族の暮らしと資産を守る手段として判断することが重要です。

建築費と地価が上昇するなか、実家の土地を活用した注文住宅、二世帯住宅、賃貸併用住宅は、土地から注文住宅を購入する以外の有力な選択肢です。

土地を購入した注文住宅世帯の土地購入資金は、全国平均2,674万円、三大都市圏平均3,947万円です。実家の土地を利用できれば、この土地取得費を新たに負担せず、建物や住宅性能へ予算を配分できる可能性があります。

注文住宅取得世帯の平均年収から、推定手取りの25%を住宅ローン返済へ充てる条件で逆算すると、借入目安は全国で約5,950万円、三大都市圏で約6,580万円です。土地購入費が不要であれば、大手ハウスメーカーも比較対象に入りやすくなります。

ただし、土地代が不要になった分を建物本体へ使い切ってはいけません。解体、測量、地盤改良、造成、外構、登記、保険、予備費を確保する必要があります。

二世帯住宅では、生活音、プライバシー、動線、費用負担、相続方法を設計前に決めましょう。賃貸併用住宅では、満室時の家賃や表面利回りではなく、空室、修繕、管理、税金、ローン返済後の手残りを確認します。

最初から建物や住宅会社を決めるのではなく、土地調査、家族会議、建築計画、資金計画、賃貸収支を並行して比較することが、建築費高騰時代の家づくりを成功させるポイントです。

出典・参考資料